配偶者控除制度の見直しについて

~配偶者控除の改正情報~

 

平成26年5月24日付日経新聞に、配偶者控除の改正について記事が掲載されていましたが、恥ずかしながら、一瞬、違和感を覚えてしまいました。

 

現状、配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額は最高で合計38万円となっています。妻がパートで年収103万円以下の場合、夫は配偶者控除38万円が受けられ、基礎控除と併せて76万円の控除となります。

 

ところが新聞報道では、例えばパートである妻の年収が、103万円以下(※新聞報道では65万円超141万円未満)の場合、控除額が76万超114万円以下」と表記されていました。

 

76万が最高では?と思ってしまいましたが、新聞報道は、夫と妻の基礎控除及び配偶者控除の合計を取り上げていました。

 

<現行の配偶者控除制度>

妻の年収

配偶者控除/特別控除

夫の基礎控除

妻の基礎控除

合計

①    65万円以下

38万円

38万円

0万円

76万円

②    103万円以下

38万円

38万円

0~38万円

76~114万円

③    141万円未満

0~38万円

38万円

38万円

76~114万円

④    141万円以上

0万円

38万円

38万円

76万円

 

これまでの税制では、夫+妻の控除額の合計をあまり意識していませんでしたが、今後は夫妻の基礎控除まで加味すると、上記のとおり若干複雑になります。このうち、②及び③の場合に、控除額が一律76万円までとなり、増税となる改正が行われる可能性があります。

 

~改正の場合の影響~

 

この改正が実現した場合、所得税上は所得に関わらず控除額一定のため、これまでの103万円の壁は考慮しなくてよいこととなります。ただし、130万円以上となると健康保険の被扶養者から外れるなど社会保険料の負担が生じますので、その点も考慮する必要があります。

<社会保険制度改正の影響について(補足)>

現状では中小企業(500人以下)については社会保険の改正は具体的には予定されていないため、130万円の壁を意識すればよいことになります。しかし、従業員501人以上の大企業については、2016年10月から社会保険の適用が拡大され、週20時間以上、年収106万円以上(月収8.8万円以上)、1年以上雇用見込あり(学生除く)、の要件を満たすと適用対象となります。したがって、年収106万円の壁があらたにできることになります。この改正は、順次中小企業にも適用が拡がる見込みです。

 

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