消費税対策は慎重に(1)

事業者は消費税を納税する必要があります。基本的には預かった消費税から、支払った消費税を差し引き、プラスであれば納税、マイナスであれば還付される仕組みとなっています。
しかしながら、消費税の仕組みは少々複雑です。

免税事業者と課税事業者の選択

事業者すべてが消費税を納める必要があるかといえば、そういうわけではありません。
基本的には設立第1期・2期については免税事業者となります(ただし、1期の半年間で給与または売り上げが1,000万円超となったときは2期目から課税となります)。また、1期目以降の売上が1,000万円以下の場合は、3期目以降も「免税事業者」となりますので、消費税を納税する義務がありません。この場合、手元に残った消費税は事業者の利益となります。
その代わり免税事業者は、設備投資など多額の資産を購入し消費税を支払った場合でも消費税の還付を受けられないというデメリットがあります。

例;売上500万円、設備投資+消費税課税の経費700万円だった場合
  課税事業者の場合・・・(500万円‐700万円)×8%=▲16万円(還付)
  免税事業者の場合・・・還付なし  ∴免税事業者は16万円不利

課税事業者を選択するか否か 有利不利シミュレーション

そこで、消費税法では、「課税事業者」を選択することを認めていますが、この制度が少々複雑です。
まず、課税事業者を選択した場合、原則2期連続して課税事業者となります。ゆえに、初年度から課税事業者を選択した場合、2期目は納税となれば、1期目に還付を受けてもかえって不利となる場合があります。

例;1期目
売上500万円、設備投資+消費税が課税される経費合計が700万円だった場合
  課税事業者の場合・・・(500万円‐700万円)×8%=▲16万円(還付)
  免税事業者の場合・・・還付なし

例;2期目
  売上500万円、消費税が課税される経費合計200万円だった場合
  課税事業者の場合・・・(500万円‐200万円)×8%=24万円(納付)
  免税事業者の場合・・・納付ゼロ

∴1~2期トータルで検討すると免税事業者のほうが8万円有利となる

消費税は事前選択制・・・だから難しい!

難しいのは、消費税の課税事業者の選択は第2期が始まる前までに行う必要がある点です。2期目の売上が全く読めない状況でどちらが有利かを判定することになります。
正直、将来のことなど誰にも予測ができないので、現在の消費税の仕組みは非常に税理士泣かせといえます。

なお、この制度はさらに複雑な規定が導入されています。1期目ないし2期目に100万円以上の固定資産(これを「調整対象固定資産」といいます)を購入した場合は、課税事業者を3期目ないし4期目まで継続しなければならない縛りもあります。この点についてはまたあらためて解説をさせて頂きます。

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