会計で未来を変える!コラム⑤3つの決算書—税務申告用の決算書
前回コラムで3つの決算書がある、とご紹介しました。
一つ目は「税務申告用の決算書」です。今回は「税務申告用の決算書」について解説致します。
中小企業といえば「税務申告用の決算書」という時代もあった
一昔前は中小企業の決算書といえば、「税務申告用の決算書」がほとんどでした。黒字会社が今より多かった経済成長期、あるいは銀行借入も担保主義だった時代は、決算書を第三者に開示する、という概念はあまりありませんでした。
税金は、確定した決算に基づき算出された利益に対して課税されます。税金計算のためには決算書を作る必要があります。この目的のために作成されるのが、「税務申告用の決算書」です。
税金を減らすには?---利益は極力低いほうがよい
税金は利益に対して課税されるため、税金を低くするためには、決算書の利益をできるだけ少なくする必要があります。つまり、「税務申告用の決算書」は極力利益を少なくすることが目的となります。
そのため、期末に消耗品を買い込んだり、あるいは、家賃を1年分前払したりするのです。出来る限り経費を計上することで、決算上の利益は減り、税金も少なくなります(※一定の知識がないと、税務当局に経費性を否認されるため注意が必要です)。
これからの時代「税務申告用の決算書」からの脱却が重要
銀行借入など未来永劫必要なく、業績が永遠に伸び続けるのであれば、税金の軽減がメインテーマとなります。しかし、会社の業績は、景気や時代の波にもまれ、変動します。いいときもあれば悪い時もあります。
税金を減らすことだけを意識していると、十分な利益が確保できず、内部留保が少なくなります。万一業況が悪化するとすぐに赤字転落、そして債務超過となり、銀行借り入れがままならなくなります。
税金を意識しすぎると、いざというときの備えが不足してしまうのです。
右肩下がりの日本経済、現環境において「税務申告用の決算書」からは脱却する必要があります。
次回、「銀行用の決算書」をご紹介します。